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都内在住ビジネスマン。CSV、サステナビリティ等に関することを 2019.5 Livedoor Blogから引っ越してきました。

サイモン・シネック最新刊 WHYの見つけ方 「FIND YOUR WHY」 ブックレビュー

気持ちを伝えることは困難ですが、その報酬は大きなものです。顧客やクライアントと感情的に重なるとき、彼らとの繋がりは、どんな特徴や利点に基づいた提携関係よりもはるかに強く、意味があります。WHYを語るのは、そのためなのです。(本書より)

表紙

前著の「WHYから始めよ!」が、WHYやゴールデン・サークルを伝えるためのものであれば、本書「FIND YOUR WHY」は、タイトルの通り、WHYの見つけ方。ワークショップの具体的なファシリテーション方法、ファシリテーターへの具体的なアドバイス等、より具体的で実践的な内容でした。


●人は「何を」ではなく、「なぜ」に心を動かされる

サイモン・シネックが伝えるWHYとは何か? それを伝えるフレームワークに、彼が考案した「ゴールデンサークル」があります。TEDのスピーチでも、普通のコンピューター会社とアップルとの商品の訴求の違いを例に分かりやすく説明しています。

<普通のコンピューター会社>
我々のコンピューターは素晴らしく、
美しいデザインで簡単に使え、ユーザーフレンドリー。
ひとつ如何ですか?

<アップル>
我々のすることは全て、世界を変えるという信念で行っています。
異なる考え方に価値があると信じています。
私たちが世界を変える手段は、美しくデザインされ簡単に使えて親しみやすい製品です。
こうして素晴らしいコンピューターが出来上がりました。

ゴールデンサークルに置き換えると、
前者は、WHAT→HOW→WHY、
アップルは、WHY→HOW→WHAT
の順番で伝えている。

つまり、人は「何を」ではなく、「なぜ」に心を動かされるということで、これは心理学ではなく、生物学の原理に基づいているというもの。

Gサークル
本書より

まだサイモン・シネックのTEDスピーチを見ていない方は、こちらからどうぞ。
Simon


本書が前著と比べてより実践的なのは、ワークショップを通して、組織や個人のWHYの見つけ方を具体的にレクチャーしてくれていること。

最終的には、WHYをステートメントする際の基本構成を示してくれています。

それは、
_____することで、_____になる。
の形式で、WHYステートメントをまとめること。

前者に入るのが、組織やグループが貢献できること
後者が、その貢献が他者にもたらす影響や効果

ワークショップを通して、WHYステートメントの候補をどう提示するのか、そして絞り込むまでのプロセスについても言及しています。ここでは、組織やグループが、WHYステートメントを抽出するまでのステップを紹介しましょう。


●WHY発見のプロセス

WHY発見のプロセスには、ワークショップを通して会話する、3つテーマにについて、紹介されています。

1:人との違い
この組織で働くときに、最も誇りを感じたときの具体的なストーリーを語ろう

2:あなたの貢献は何?
各ストーリーにおいて、あなたの組織が他者の人生に与えた具体的な貢献は何だろう

3:あなたの影響は何?
あなたの組織の貢献は、他者が何を行動し、何になるように促したか?

WHY STEP
本書より

繰り返しになりますが、本書が実践的で素晴らしいのは、それぞれのプロセスにおいて、ワークショップのグループが話し合い、共有すべき内容に加えて、その場を仕切るファシリテーターへのアドバイス、話し合いを始める前にファシリテーターが参加者に示す具体的な指針にまで言及していること。

例えば、1であれば、
「大切なのは、ストーリーが話し手に直感的で感情的な反応をもたらすこと」
「組織の金銭的成果を求めているのでなく、感情を引き起こす、より人間的でより意味深いものであること」
等がアドバイスとして記されています。

また、著者がこれまでワークショップを開催して参加者から出た「よくある質問」が巻末に掲載されていました。

Q:「WHYのコンセプトは、ビジネスの現実とまったく関係ない。ちょっとふわふわしていて、実際の世界からかけ離れていないか?」

回答は、ぜひ、本書でお確かめ下さい。



ちなみに、サイモン・シネックは、自身のWHYを次の様に定義しています。

「やる気になれることをするよう人びとを鼓舞することで、
人びとが共に世界を変えるようになる。」


以前からこのブログでも紹介している様に、エンゲージメント・ファーストでは、WHYを見つけるプログラムをワークショップに取り入れ、大企業を中心に多くの方々とワークショップを開催してます。
今年春からは、美術館と連携し、ギャラリートークの手法も取り入れたワークショッププログラムの計画中です。

ギャラリートークがなぜ、ビジネスと関係があるのか?少しでも興味を持った方は、ぜひ、こちらの投稿もご覧下さい。

ワークショップ開催のご要望は、エンゲージメント・ファーストまで、お声掛け下さい。