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都内在住ビジネスマン。CSV、サステナビリティ等に関することを 2019.5 Livedoor Blogから引っ越してきました。

パーソナル・ブランディングのススメ「インディペンデント・シンキング」ブックレビュー

インディペンデント・シンキングは、既存の組織の利益第一という枠組みを超えるマインドを求める。いかなる場合にも、どこにいても、価値を提供できる実力を身につける、このようなマインドとスキルを持った人たちは、社内にいても、新たなインパクトを生み出す。社外に対しても通用する価値を追求するということは、企業と自身の関係を対等なものへと転換する。

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読後に思い浮かべた最近読んだ本は、以下の2冊。

www.mhagiya.com

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そして、もう一冊は、恐らく20年位前に読んだ、トム・ピーターズのこの本。

トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦<1> ブランド人になれ!

トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦<1> ブランド人になれ!

 

 自分をどう差別化させ価値提供が出来るか、そして、与えられた問題を解くのではなく、どう問いをたて、新しい価値を提供するか?

また、たとえ会社に属していても雇われない、つまり、会社から請われる存在となるのか?

なぜ、そうしたマインドシフトとスキルセットが必要なのかを問うのが本書の内容となります。乱暴かつ端的にまとめてしまえば、会社に留まるも、会社を飛び出して独立するも、自己研磨は一生必要、今後はパーソナルなブランディングが必要ということ。

マッキンゼーや日本郵政の専務、東京スター銀行 COO等を歴任し、現在は、ビジネス・ブレークスルー大学(以下、BBT)の副学長を務める著者の今月(2019年9月)発売の最新刊となります。

 

●インディペンデント・シンキングとは?

本書によれば、インディペンデント・シンキングとは、

外海の世界に踏み出すための第一歩、プールの中で浮輪を付けて生涯留まるべきか、思いきって外海にでるべきか・・・そんなあなたの「もやもや」を解決するための思考法だ。

そして、自分は何をしてどんな価値を提供できるのかをいつも問いかけること。

トヨタ自動車でさえ今後、「終身雇用は難しい」と会長が述べたのが今年5月の事。いやはや、大変な時代となりました。

 

●自己研磨すべきこと

 では、そうした時代に、インディペンデント・シンキングを磨くために重要なことは何か?それは、「マインド」と「スキル」の両輪が必要ということ。

「マインド」を磨くために、とは、仕事の実体験を通して同質の組織ではなく、社内外含めて、多様な人との交流やそうした環境に身を置くこと。

そして、「スキル」を磨くための履修項目として、本書では、大学の科目選択に倣って、必修科目、選択科目、専門科目の3つのカテゴリーを挙げています。

3つのカテゴリーは、ハードルが高くで、ちょっと引いてしまう様な内容でしたが、詳細の内容は是非、本書で確認して頂きたいと思います。

 

●「善悪の境界線」の明確化

本書の重要なもう一つのキーワードの一つに、「ハイエンド・アウトロー」がありますが、それは、

インディペンデント・シンキングのマインドでだけでなく、必要なスキルも志も兼ね備える。そのような思考法を備えたうえで、実際に行動しながら変革を起こし、あるいは自己実現を図る人

としています。

4象限にマッピングしたのが、下図となります。

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本書より

ハイエンド・アウトローは常に対外的なインパクト、特に共通価値を最大限駆使して、スケール感を追求する。小さなもので満足すると、そのとたんサイロ構造の中での成果に陥ってしまい、縦割り構造を転換するに至らないからだ。(中略)常に自分の提供価値を測定しながら、小さなスケールに陥っていないか確認したい。

 

●過去問のない世界の問題解決

ビジネススクールでの学びと言えば、過去の豊富なケーススタディに基づいて、研究・討議を行うイメージでしたが、本書後半で、BBTでは全く異なるアプローチをしていることが紹介されています。

すでに答えが出ている課題を考えても本当の意味での思考力や判断力を養うことが出来ないという理由から、現在進行形の経営課題を自ら分析し、考えることで、経営者に変わり、自分ならどうするか?つまり、正解のない経営課題を議論しているとの事。

そして、個人的に最もワクワクして読み進めることが出来たのが、第4章の5人の起業家による実際のビジネス創出の「発想の着眼点」と「なぜやるのか?」がまとめられたケーススタディ。まさに「自分だったらどうするか?」を考える上で、学びの多い内容となりました。

起業を自分事化して、自分が実現した未来、そして何よりもその事業を自らが立上げ、社会や顧客に貢献したいという想い。なぜその事業をやるのか?ケーススタディを通して、起業家一人ひとり人物像が浮かび上がります。

彼ら彼女らの事例は、「本来あなたのやりたいこと、やるべきことと現状のミスマッチを感じているか?」「最終顧客への貢献、利他的行為による意義を感じているか?」「思考を広げるための知見を持ち合わせているか?」を問いかける。

その実現に向けて人生を賭けて歩み始めた人たちの姿は見えるが、映し出されたのは、大上段に振りかぶった起業家像ではない。皆、自ら学び続ける環境に身を置き、「発想の着眼点」を大事にし、そして第一歩を踏み出すことで次の世界を切り開く鍵を得ている。最初がなければ、一生見ることのない世界だ。

 

ハイエンド・アウトローに求められる行動規範やスキルやマインドを磨くためにすべきこと、全体を通して、とても実践的な内容でした。

なぜマインドセットやスキルを磨くのか?ハイエンド・アウトローの定義、そんな事は他人に言われなくても・・という皆さんも、第4章の5つのケーススタディを通して自らが考える、是非、トライしてみて下さい。

 

組織にいても独立しても自分の価値を高め続ける インディペンデント・シンキング

組織にいても独立しても自分の価値を高め続ける インディペンデント・シンキング